沖縄空手体験記(その5)
その5「沖縄空手の道場へ(上地流)」雑誌の企画内で沖縄空手の達人に会うことは出来なくなりましたが、諦めきれない私は沖縄空手会館内にある沖縄空手案内センターを訪ねました。そこで、以前から興味のあった「上地流(うえちりゅう)」の道場を紹介してもらいました。
上地流は大分県内ではあまり聞きませんが、沖縄空手三大流派の一つで、開祖の上地完文が中国に渡り、現地の武人から伝授された拳法がもとになっているため、他の沖縄武術とは動きや構えが違います。
また、型は八つのみであり、指先、足先など手足の先端を鍛練し武器として使う攻撃が特徴的です。防具をつけずに直接打撃を加えるというところは極真空手と通じるところがあります。私が訪問したのは上地流空手道那覇南修武館。島袋春吉先生(八段教士)にご指導いただきました。
(なお、他流派への出稽古では礼儀として特段の指示がない限り白帯を付けます。(道着も流派名がない無地のものが理想)また、どこの道場でも出稽古が出来るわけではありませんので注意してください。)
島袋先生は極真空手のことも詳しく、約30年前に沖縄で開催された極真空手の九州大会の際に大山総裁の話を聞ききに行ったとおっしゃっていました。(私も高校生の部に出場していました)
さて、上地流は、構えや動きが普段やっているものとかなり違うため苦戦しましたが、映像でしか見たことのなかった上地流の稽古が体験できて大変楽しいものでした。
印象的な稽古としては、小手鍛えというものがあり、これは相手の突きを捌いて、そのまま手首を掴み、自分の前腕で相手の前腕を思いっきり叩くことを繰り返す稽古です。腹筋や太ももを攻撃されることには慣れている私も、腕の一点を繰り返しひたすら叩かれるという経験はなく、かと言って痛いから止めてくださいとも言うわけにもいかず、後で腕がパンパンに腫れました。
また、甕(かめ。つぼ)を持って移動する稽古がありますが、甕が掴みにくく、握力が無くなっていくためこれも大変苦戦しました。後で調べると両手と背中を一体化して持つと長時間持てるようです。普段は教えるばかりなので、自分が出来ないことを教えてもらうということが新鮮でした。
なお、稽古後に高段者の方と話をしていたら、昨年東京で開催されたツーリズムEXPOの会場で名刺交換をした沖縄県庁の空手振興課長さんだということが分かり、「300以上ある沖縄空手の道場の中でよくもピンポイントでこの道場に来ましたね!」と再会を喜びました。ちなみに、沖縄県は空手による観光に力を入れているため県庁内に空手振興課が日本で唯一あります。
この出会いは、流派は違えど空手を続けていたからこそ生まれたものです。こうして約3時間の上地流の稽古を終えました。
その6に続く。